カッターとは

カッター(Cutter)とは、オールを使って漕いだり(Pulling)、帆(Sail)に風を受けて帆走(Sailing)する訓練用ボートのことです。もともと大型船に備えられていたボートを大きさで区別し、大きい方からランチ(Launch)、ピンネス(Pinnace)、カッターと呼んでいました。

 オールを使って漕ぐ場合、漕ぎ手全員のオールが(1)海水を掴み、そして(2)捕えた海水をグッと引き込み、オールが(3)海水から離れ、再び海水を掴むために(4)オールを突き出す、(1)キャッチ→(2)引き→(3)フィニッシュ→(4)返しという一連の動作が一糸乱れず行われなければなりません。そのためには、号令をかける艇指揮、チラーを握り舵をとる艇長、そして漕ぎ手(クルー)全員の意気がぴったりと合ってはじめて効率よく前進させることができるのです。

 船員を養成する教育機関では、端艇実習あるいは海技実習と呼ばれるカッターを使った操艇、とう漕、帆走実習が行われています。これらの海技に関する実習を通じて、海上作業に不可欠な責任感と忍耐力、そして全員一丸となって艇を進めるという協調性を身につけ、何事にも負けない精神力を養っています。

 このテキスト・カッター編で解説する主な内容は、オールを使って漕ぐプーリング(Pulling)と風を利用してカッターを進めるセーリング(帆走)についてです。そして、カッターの各部名称、帆走艤装の要領、風の吹いてくる方向とセールの取扱い方(帆走方法)等、安全なプーリングとセーリングを行うための基本事項を示しました。

 四面を海に囲まれ、海に親しむチャンスの多い日本。四季のすばらしさとともに、気象変化の目まぐるしい日本。カッターによるプーリングとセーリングを通して、少しでも自然の偉大さを感じとっていただきたいと願っています。

 偉大さとは、時にはすばらしさであり、また時にはおそれや恐さでもあります。自然との触れ合いにより、自然への思いやり、そして自然環境を保護する精神を大切にしたいものです。

 海洋活動マニュアル

日本財団協力の元に海洋活動マニュアルが作成されました。

海洋活動の参考になさってください。

はじめに
 海洋少年団活動は、「海に親しみ、海に学び、海に鍛える」ことをモットーに、海を道場として青少年の心身の健全な育成を目指すものであります。
 カッターは、艇指揮のもと、艇員全員が心と力を合わせ、撓漕したり、帆走することにより、協調性、積極性や忍耐力、指導力などを体得するとともに、体力の向上にも効果があるところから、海洋活動のベースとして位置付けてきました。
 しかしながら、近年に至っては、団員の若年化等を受け海洋活動が多様化し、カッター以外にヨットやカヌーを採用する傾向が見られてきました。
 そのため、ヨットやカヌーの取り扱いに関する教本の必要性が訴えられてきましたので、この度、既に発行されている指導教本の「結索法」編と「カッター」編に、新たに「ヨット」編と「カヌー」編を加えた教本を「海洋活動マニュアル」として整理し、発行する運びとなりました。
 全国の指導者各位におかれては、この「海洋活動マニュアル」を十分に活用され、海洋少年団活動の円滑なる推進に役立ててほしいと願う次第であります。
 ここに、本書の原稿作成や編集にあたられました神戸商船大学の古荘雅生助教授(カッター編)、山下和雄助教授(ヨット編)及び橘秀幸助手(ロープワーク編)並びに姫路独協大学の中野友博助教授(カヌー編)のご協力と、本書の刊行にあたり、ご援助いただきました日本財団に深く謝意を表する次第であります。
 
平成15年3月
(社)日本海洋少年団連盟

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